かてなちお ― 「まもる」をテーマに生活情報から防犯情報まで紹介します。

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皆様、ご機嫌如何ですか?閂屋の北野邦彦です。いや~暑い!猛暑たけなわといった感じですね~そんな中、京都市北区紫野にある標高112m程度の丘「船岡山」に登ってきました。応仁元年(1467年)に始まる応仁の乱の西軍の城となり、その一帯を「西陣」の名で呼ぶようになりました。その時、造らせた「陣幕」に端を発したのが「西陣織り」の始まりとされています。

木陰で時折吹く風を感じると、大変心地よく涼しげでした。山から町に向かって歩くと段階的に暑さが感じられます。「ヒートアイランド」ですね(笑)少し、自分がいる場所を変えるだけで、随分と違うものだな~と、こうした場所に行く度に感じます。

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同じ場所でも、立ち位置を少し変えるだけで、物事が変化する・・う~ん、詩的ですね(笑)誰にでも「変身願」というか、今と違った仕事・生活に憧れる、なんてことはあるかと思います。そういった体験は出来ないものでしょうか?

最近、欧米でこれに近い体験が出来る施設が、大変な人気を博しています。「生きている図書館」といいます。この図書館は読者が様々な職業や嗜好をお持ちの方を「」として借り、約30分、お話を聞けるという、生きた図書館なんです。

読後アンケート”では99%以上が「ほかの人にも勧める」と語っています。どうやら、かなり優れた”良書”のようです(笑)ちょっと面白いなと思いました。同じ「社会」で生活していますが、身をおく「環境」が違うと、こうも違うのか?という、目から鱗の体験ではないでしょうか。

大人になって仕事を持つようになると、自分の仕事以外の人々と”関わり”を持つようになるのは、難しくなってきます。”趣味”の仲間というのもありますが、それも趣味という範疇での出会いであるため、全く違った人達との出会いとは、いい難いと思われます。様々な人から色んな話を聴けるというのは「」ではないでしょうか?

今回は、この図書館を取り上げてみたいと思います。「コミュニケーション不足」と表記されすが、私はこうした事柄に”ヨコモジ”を使うのはどうか?と思っています。画一的な言葉の印象が、物事の本質が見えにくくしていると思えるからです。本物のコミュニケーションを覗いてみましょう☆

生きている図書館」は2000年にデンマークで、暴力追放をテーマにしたロック音楽祭の企画として始まったのがきっかけで、その後、計23カ国に広まっています。貸し出される「本」は元マフィア、移民、性転換者、イスラム教徒、女性消防士と多岐に渡り、マフィア、ネオナチ、フリューガンと「近づきにくく少し危ない本」が人気のようです。何となく分かりますね(笑)

「本」探しはかなり手間をかけるようで、場合によっては踏み込んだ質問等、それに受け応えして頂く「了承」を取り付ける必要があります。元麻薬密売人といった場合は、説得が必要とされるようです。図書館側も「本」も結構な覚悟があると思えますし、勇気がありますね。話し合いの多くは「偏見」から入る場合が多いからです。

性転換手術をした男性を「借りた」女性は話を終え、感想は

どこか違う人間と思っていた。でも共通点が多くて驚いた。最後は友達のように思え、私にも偏見があったと気付いた

と、語っています。また、「」を”借りた”動機については

”はつらい時期を乗り越えてきた人達。家族も悩んだと思う。私も厳しい時を経験するかもしれない。それを克服するヒントがあるのではと思って

悲しい事に昨今の日本では、ニュースを見るたび、毎日のように子供が親を、親が子供を夫が妻をと、殺し
、殺され・・なんとも虚しい事件が増えています。私の”偏見”かも知れませんが、こうした事件を起こす方は凄く”狭い”世間で生活されているように思えます。

誰でも、活きて行く上で悩みや葛藤に出会います。全てを受け入れ、自分の中で処理できるか?かなり、難しい事でしょう(笑)そんな時、ちょっと相談出来る人が周りにいますか?人は悩みを他人に話す事や”聞い
てもらっている”という安心感が、人の心に落ち着き与、考えがまとまる思っています。

何の神様を祭った祠か失念しましたが、古代ローマでは夫婦喧嘩の際、そこに行き、自分の気持ちを語り合ったといわれています。そこにはルールがありまして、一方が”話し終える”まで、一切、口出しは出来なかったそうです。そうやって、一方の話を聴いているうちに、互いに冷静になる「機会」が生まれ、仲直りのきっかけとなったそうです。要するに「理性的」になっていくわけですね。

この行為は「聴き入れる」事で「偏見や悪感情」を捨て、相手を「受け入れる」という事ではないでしょうか。同じく”社会”に属していても、ちょっと立場や視点を変えるだけで、その人に”映る”風景、体感出来る事に大きな変化があると思います。猛暑の中でもちょっと、木陰にいれば暑さ(体感)気分も、変っていくのと同じですね(笑)

その為には、自分の殻に閉じこもるのではなく、広く世間に出て行く必要がありますが、これは苦痛ではなく
愉快な人生経験です。その魅力を”伝える”必要が現代は求められていると思えます。そうした「場」としてこの図書館は大変、有益に映りました。日本では「井戸端会議」という似た風習がありましたね。「市井」に出ましょう☆

ローマも末期には、上に書いたような「風習」が廃れていったといいます。つまり社会が理性的ではなくなって
きて感情的に、画一的になったからです。「社会不安」の影響からです。現代と似ています。だからこそ、聴き入れる理性が求められていると思います。「風に習う」。風は見えませんし、匂う事も聞く事も出来ません。しかし、確かにそこに「在る」事を”感じれ”ます。ネイテイブ・アメリカン、インデアンの教えです。

こうした「余裕」を持てる活き方、過ごし方が多くの「偏見」を捨て去り、人がより「自由」に活きる前提になっ
ていると思います。簡単に誰にでも出来ます。心の「モチヨウ」だけなのですから(笑)こうした心が自分を他人を大切に扱い、生活や安全を守る前提になっていくでしょう。方々歩き回って”ナンボ”が人生ですから☆

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